第07室
スライダー
つまみを動かして、範囲の中からちょうどいい値を選ぶ部品です。
操作
触る
触るとどうなるか
いまの明るさは60%です
操作のしかた
- マウス
- 乗せるとつまみのまわりに輪が出る
- つまみをつかんで動かす
- 溝を押すとそこへ動く
- キー
- Tab次の部品へ動く
- ←→1つずつ動かす
- HomeEnd端へ動かす
- タッチ
- つまみをなぞって動かす
- 溝をタップするとそこへ動く
- タッチ
- つまみをなぞって動かす
- 溝をタップするとそこへ動く
ほかの操作(マウス、キー)
- マウス
- 乗せるとつまみのまわりに輪が出る
- つまみをつかんで動かす
- 溝を押すとそこへ動く
- キー
- Tab次の部品へ動く
- ←→1つずつ動かす
- HomeEnd端へ動かす
解説
読む・見比べる
なぜ気持ちいいと感じるのか
動かしたぶんだけすぐ変わる
部屋の明かりの調光つまみは、回している間にも明かりがすこしずつ変わります。画面のスライダーも、つまみを動かしている間に値と結果が変わると、自分の手で動かしていると感じられます。人が「すぐ」と感じる時間はほんのわずかで、それより遅れると、手で動かしている感じが薄れると言われています。見えている物をすこしずつ動かせて、その結果がすぐ画面に出ることは、直接動かしている感覚の条件に挙げられています。動かしている間に結果を見せるよう勧める指針もあります。
動かしている間も、明かりと数字がついてきます。
ねらいがずれても動かせる
電車の中で片手で音量を変えようとして、小さなつまみを押しそこねることがあります。押せる的を大きくすると、手がふるえるときや片手のとき、乗り物で揺れるときにも押しやすいとされています。スライダーでは、つまみの押せる範囲を見た目より広くとり、溝のどこを押してもそこへ動くようにすると、ねらいがすこしずれても動かせます。名前と値は溝の上に置き、動かす指で隠れないようにします。
溝のどこを押しても、つまみがそこへ動きます。
塗りの長さでどれくらいかわかる
温度計は、赤い線の長さでどれくらいかがひと目でわかります。スライダーも、溝の左端からつまみまでを色で塗ると、範囲の中のどのあたりかが長さで見てとれます。左が小さく右が大きいという向きは、どのアプリでも同じだと期待されています。動かす物とその結果がずっと見えていることも、直接動かしている感覚を支えます。
左端からつまみまでが塗られ、どれくらいかが長さでわかります。
ドラッグしなくても選べる
手がふるえるときや、片手がふさがっているとき、つまみをつかんだまま動かすのは難しいものです。キーボードの矢印キーで1つずつ動かせて、端へも一度で動かせると、なぞる動きがなくても値を選べます。ドラッグで動かす部品には、押すだけで同じことができる方法を添えるよう決められています。溝を押すとそこへ動く作りも、その方法のひとつです。
Tab キーで選んで、矢印キーで1つずつ動かせます。
名前の由来
すべるものから音のつまみへ
スライダーは英語の「すべる」に「〜するもの」を付けた言葉で、「すべるもの」という意味です。1520年代から使われていて、はじめは氷の上をすべる人を指していました。
音響機器には、つまみを溝に沿ってすべらせて音の大きさを変える部品があり、フェーダーと呼ばれます。つまみの位置を見れば、いまの設定がわかるのが長所です。

画面の上では、1984年のマッキントッシュの設定画面に、音量を変えるスライダーがありました。ウェブでは2004年に、スライダーを出す入力欄の名前が話し合われました。アップルの開発者は「レンジ」がスライダーを指すよく使われる名前だとして、変えないよう求めました。一方で、レンジは2つの数を思わせるという意見もありました。名前はレンジのまま決まり、使いどころの例には音量や明るさが挙げられています。いまではどのブラウザーでも使えます。
脚注
- 1
Apple「Human Interface Guidelines: Sliders」。値が変わるとつまみと最小値の間の溝が色で埋まるとしています。最小を先頭側、最大を末尾側に置く向き(左から右へ書く言語では左が最小)は、アプリをまたいでそろっていると期待されると書いています。macOS の項では、値が変わる間に結果を見せることを考えるよう勧めています。
- 2
Aurora Harley「Slider Design: Rules of Thumb」Nielsen Norman Group、2015年。正確な値を選ぶことが大事なら、ほかの部品を選ぶよう勧めています。ラベルはスライダーの上か横に置き、下に置くとタッチ中に指で隠れると書いています。
- 3
Google「material-web tokens: _md-comp-slider.scss」と「slider/internal/_slider.scss」。Material Design 3 のスライダーは、ホバーでつまみのまわりにうすい円を出し、押している間はその円を濃くします。無効のときは全体を薄くしますが、塗った溝と残りの溝の色は分けたままです。なぜそうするかは書かれていません。
- 4
MUI「material-ui: Slider.js」。ホバーでつまみのまわりに半透明の輪を出し、ホバーのない端末では出しません。押している間は輪を広げ、ドラッグしている間はつまみの動きのアニメーションを切っています。なぜそうするかは書かれていません。
- 5
W3C WAI「ARIA Authoring Practices Guide: Slider Pattern」。フォーカスはマウスで動かすつまみに置くとしています。右か上の矢印キーで1段増やし、左か下で1段減らし、Home キーで最小、End キーで最大にします。
- 6
W3C「Understanding WCAG 2.2: 1.4.11 Non-text Contrast」。部品とその状態を見分けるのに必要な見た目は、となりの色と3:1以上のコントラストにするよう求めています(レベルAA)。無効の部品は対象外です。
- 7
Jakob Nielsen「Response Times: The 3 Important Limits」Nielsen Norman Group、1993年(2014年に追記)。0.1秒ほどが、すぐ反応したと感じる限界だとしています。2014年の追記では、0.1秒を画面の物を直接動かしていると感じる限界とし、0.2〜1.0秒遅れると、コンピューターが命令を処理していると感じると書いています。スライダーを使った実験ではありません。
- 8
Samyukta Sherugar, Raluca Budiu「Direct Manipulation: Definition」Nielsen Norman Group、2016年。直接操作を、見えている物を、すこしずつ元に戻せる手の動きで操作し、その効果がすぐ画面に見えることだとしています。1983年の Ben Shneiderman の考えをまとめた記事です。
- 9
W3C「Understanding WCAG 2.2: 2.5.5 Target Size (Enhanced)」。押せる的を44×44 CSS ピクセル以上にするよう求めています(レベルAAA)。手のふるえがある人、片手で操作する人、乗り物の揺れの中で操作する人に役立つと書いています。
- 10
Page Laubheimer「Accot-Zhai Steering Law: Implications for UI Design」Nielsen Norman Group、2019年。タッチ画面ではつまみの押せる大きさを少なくとも1cm角にし、指でスライダーやまわりのラベルを隠さないよう考えることを勧めています。スライダーのどこを押してもその位置へ飛べるようにすることや、見た目より押せる範囲を広げることも勧めています。実験で決めた数値ではありません。
- 11
W3C「Understanding WCAG 2.2: 2.5.7 Dragging Movements」。ドラッグで使う機能は、ドラッグしない1回の押す操作でも使えるよう求めています(レベルAA)。スライダーの例として、溝を押すとつまみがそこへ動く作りや、となりに数値の入力欄を置く作りを挙げています。
- 12
Online Etymology Dictionary「slider」。動詞 slide に「〜するもの」を付けた名詞で、1520年代から使われ、最初の用例は「スケートをする人」の意味だとしています。本サイトは開けなかったので、Wayback Machine の保存版で確かめています。
- 13
Wikipedia「Fader (audio engineering)」。フェーダーは音の大きさを徐々に上げ下げする装置で、スライド式のものはつまみが溝に沿って動くと書いています。
- 14
Wikipedia「Potentiometer」。スライド式の可変抵抗は指で動かし、つまみの位置が設定を目に見える形で示すのが長所だとしています。例にミキシング卓のフェーダーを挙げています。
- 15
Andrew Conachey「Innovative Macintosh System 1.0」Low End Mac、2005年。1984年のマッキントッシュのコントロールパネルの、いちばん左が音量のスライダーだと書いています。これが画面のスライダーの最初の例だとは書いていません。
- 16
David Hyatt「Web Forms 2.0 - Comments on sections 1 and 2」WHATWG メーリングリスト、2004年6月10日。アップルの David Hyatt が、range はスライダーを指すよく使われる言葉で、多くのツールキットが同じ言葉を使っているとして、名前を変えないよう求めています。
- 17
Ian Hickson「Re: Web Forms 2.0 - Comments on sections 1 and 2」WHATWG メーリングリスト、2004年6月10日。type 属性が表すのは部品の種類ではなくデータの型で、range は2つの数を思わせると返しています。
- 18
Ian Hickson 編「Web Forms 2.0」W3C Member Submission、2005年。range を、number と同じで正確な値が大事でないことを示す型とし、画面ではスライダーを使ってよいとしています。音量や明るさの調整をよい例に挙げています。
- 19
MDN Web Docs「<input type="range">」。正確な値が大事でないときに使う入力欄で、2017年3月からどのブラウザーでも使えるとしています。
- 20
hanmaili「Fader tweaked on Mackie D8B Digital Mixer (2011-07-04 by hanmaili) pixabay - 225498.jpg」Wikimedia Commons、2011年撮影。CC0(パブリックドメイン)。Pixabay から転載された写真で、2015年に Commons でライセンスが確かめられています。
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