第05室
パンくずリスト
いまいる場所と、そこまでの階層を並べて見せる部品です。
操作
触る
触るとどうなるか
森のパンやさん
いまは「森のパンやさん」のページです
操作のしかた
- マウス
- 乗せると下線が太くなる
- 押してそのページへ移る
- キー
- Tab項目を移る
- Enterそのページへ移る
- タッチ
- タップしてそのページへ移る
- タッチ
- タップしてそのページへ移る
ほかの操作(マウス、キー)
- マウス
- 乗せると下線が太くなる
- 押してそのページへ移る
- キー
- Tab項目を移る
- Enterそのページへ移る
解説
読む・見比べる
なぜ気持ちいいと感じるのか
「戻る」を何度も押さずに上の階層へ戻れる
デパートで靴売り場から婦人服の階へ戻りたいとき、来た道をひとつずつ引き返す人はあまりいません。フロア案内を見て、目当ての階へまっすぐ向かいます。パンくずリストの項目は、ひとつ上や、もっと上の階層のページへのリンクです。ブラウザーの「戻る」は来た順にひとつずつしか戻れませんが、パンくずなら一度で上の階層へ移れます。「戻るボタンがほしい」と言った人が本当にほしかったのは、上の階層へのリンクだったという観察があります。パンくずをよく使った人ほど「戻る」を押す回数が少なかったという調査もあります。ひとつ上の階層へ戻れないと、検索をやり直したり、そのページから動けなくなったりするとも報告されています。ただ、パンくずがあれば早く探せるとまでは言えないという結果も出ています。
森のパンやさん
ホーム本絵本森のパンやさん
森のパンやさん
「絵本」を押すと、ひとつ上の一覧へ一度で移れます。
いきなり奥のページに来ても、ここがどこかわかる
手紙の住所は、県、市、町と大きな区切りから順に並んでいます。知らない町の住所でも、全体のどのあたりかがわかります。パンくずリストもホームから順に、いまのページとその上の階層を並べます。並べるのは、たどってきた順ではなく、サイトの中の階層です。検索結果やほかのサイトのリンクから、途中を飛ばして奥のページに着いた人でも、パンくずを見れば、ここがどこで、近くにどんなページがあるかがわかります。いまいる場所がわかることは、長い手順で迷いやすい人の助けにもなるとされています。ただ、階層が1〜2段しかないサイトでは、なくてもかまわないとされています。
検索結果から開いたページ
森のパンやさん
検索結果から開いたページ
森のパンやさん
ここが「本」の中の「絵本」のページだと、ひと目でわかります。
せまい画面では1行にまとめる
封筒の宛名欄がせまいとき、文字を小さく詰め込むより、書き方を短くしたほうが読みやすくなります。パンくずリストも階層が深いと、スマホでは何行にも折り返し、行の途中で切れてつながりが読みにくくなります。かといって文字を小さくしたり間を詰めたりすると、指で押しにくくなります。そこで文字の大きさはそのままに、見せる項目を減らします。最初と最後だけを残すやり方や、横にすべらせて全体を見せるやり方があります。どれがよいかは、指針によって意見が分かれています。
森のパンやさん
森のパンやさん
途中を「…」にたたんで1行に収めるので、並びが読みやすいままです。
名前の由来
森にまいたパンくずから、帰り道の案内へ
パンくずリストは、英語の「ブレッドクラム」を訳した呼び名です。グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」で、ヘンゼルが帰り道の目印にパンくずをまいた場面から来ています。
お話では、1回目に森へ連れて行かれたとき、ヘンゼルは白い小石を落としていき、2人は無事に家へ帰れました。2回目は小石を拾いに出られず、もらったパンを砕いて道にまきます。ところが森の鳥がパンくずをついばんでしまい、2人は帰り道がわからなくなります。

コンピューターの世界では、1987年にハイパーテキストの研究者がこの呼び名を使ったのが始まりとされています。2009年にはグーグルが検索結果にページの階層を出しはじめ、これを「ブレッドクラム」と呼ばれる道案内だと紹介しました。グーグルの日本語の案内では「パンくずリスト」と呼んでいます。
ただ、いまのパンくずリストが見せるのは、お話のように自分が歩いてきた道ではありません。サイトの中の階層です。そのため、すこし誤解をまねく呼び名だという指摘もあります。
脚注
- 1
W3C「Understanding WCAG 2.2: 1.4.1 Use of Color」。色を、情報を伝えるただひとつの見た目の手段にしないよう求めています(レベルA)。まわりの文字と色だけでしか見分けられないリンクを、失敗の例に挙げています。パンくずについて直接は書かれていません。
- 2
デジタル庁「design-system-example-components-html」のパンくずの CSS。ホバーで下線を太くし、ホバーの見た目はホバーできる環境だけで出しています。訪問済みと未訪問のリンクは同じ色にそろえています。
- 3
W3C「Understanding WCAG 2.2: 2.4.7 Focus Visible」。キーボードで操作できる画面では、いまどこにフォーカスがあるかが見えるようにするよう求めています(レベルAA)。
- 4
W3C「G65: Providing a breadcrumb trail」WCAG 2.2 Techniques。いまの場所をリンクにしないことで、見た目と意味の両方で前の項目と区別する例を挙げています。いまの場所をリンクのまま残す例も挙げ、そのときは aria-current などでプログラムからもわかるようにするとしています。
- 5
Page Laubheimer「Breadcrumbs: 11 Design Guidelines for Desktop and Mobile」Nielsen Norman Group、2018年。パンくずは閲覧の履歴ではなくサイトの階層を見せるもので、いまのページは末尾に載せてもリンクにしないよう勧めています。スマホでは何行にも折り返してつながりがわかりにくくなること、リンクを小さくしたり詰めたりするとタッチ画面では押しにくいことを挙げています。階層が1〜2段の平らなサイトでは要らないとしています。
- 6
MDN「ARIA: aria-current attribute」。aria-current="page" は、パンくずの中のいまの文書へのリンクのように、ページの集まりの中でいまのページを表すとしています。見た目で示していることを、支援技術を使う人にも伝えるためのものです。
- 7
IBM「Carbon Design System: Breadcrumb」、Microsoft「Fluent 2: Breadcrumb」。Carbon は、長いパンくずを2行に折り返さず、最初と最後のリンクを残して途中をメニューにたたむとしています。Fluent も、最初と最後の項目はいつも見せ、2番目の項目からたたむとしています。
- 8
Jakob Nielsen「Breadcrumb Navigation Increasingly Useful」Nielsen Norman Group、2007年。テストの参加者が「戻るボタン」をほしがったとき、本当に求めていたのは上の階層へのリンクの一覧だったという観察を紹介しています。検索や外のリンクから奥のページに来た人に、上の階層とのつながりを見せて助けになるとしています。
- 9
Bonnie Lida Rogers, Barbara Chaparro「Breadcrumb Navigation: Further Investigation of Usage」Usability News 5(2)、SURL、2003年。45人の調査で、パンくずをよく使った人は「戻る」を押す回数が少なかったと報告しています。一方で、見たページの数や課題にかかった時間には差がありませんでした。注の中で、パンくずが見せる道は利用者が通った道とは限らないので、この呼び名はすこし誤解をまねくと書いています。
- 10
Jamie Holst「E-Commerce Sites Need 2 Types of Breadcrumbs (68% Get it Wrong)」Baymard Institute、2013年。商品ページからひとつ上の分類へ戻れないと、利用者はトップの分類を選び直したり検索し直したりと大きく飛び越えるか、商品ページから動けなくなると報告しています。
- 11
W3C「Understanding WCAG 2.2: 2.4.8 Location」。ページの集まりの中で、いまどこにいるかがわかるようにするよう求めています(レベルAAA)。認知に障害のある人や、長い手順で迷いやすい人、奥のページに直接来た人の助けになるとし、手段の例にパンくずを挙げています。
- 12
GOV.UK Design System「Breadcrumbs」。長いパンくずを、スマホでは最初と最後の項目だけにする設定を用意しています。
- 13
Edward Scott「6 Important Aspects of Well-Performing Mobile Product Page Breadcrumbs」Baymard Institute、2020年。スマホの商品ページで、ホームといまのページを省いても、テストで悪い影響はなかったと報告しています。それでも長いときに試してみる価値のあるやり方として、横にすべらせて全体を見せる形を挙げています。
- 14
Wikipedia「Breadcrumb navigation」、Jacob Gube「Breadcrumbs In Web Design: Examples And Best Practices」Smashing Magazine、2009年。どちらも、呼び名はヘンゼルとグレーテルがまいたパンくずから来ていると書いています。最初に名付けた人や文献は示していません。
- 15
Brüder Grimm「Hänsel und Gretel」『Kinder- und Haus-Märchen』初版、1812年(Wikisource の翻刻)、D. L. Ashliman 訳「Hansel and Gretel」。1回目は白い小石を落として帰り、2回目はパンを砕いて道にまいたものの、森の何千羽もの鳥がついばんでしまったと書かれています。初版と1857年の第7版のどちらも同じ流れです。
- 16
Mark Bernstein「Mark Bernstein(CV)」、Keith Instone「Breadcrumbs」(Wayback Machine の2004年の保存版)。Bernstein は、自分の作ったハイパーテキストの道具が、パンくずの考え方をハイパーテキストに持ち込んだと書いています。Instone は、ネットでの道案内に「bread crumb」という言葉が初めて文献で使われたのは、1987年の Bernstein だとしています。どちらも一次資料は示していません。
- 17
Harvey Jones, Daniel Rocha「New site hierarchies display in search results」Official Google Blog、2009年。一部の検索結果で URL の代わりにサイトの階層を出しはじめたと発表し、これはウェブで広く使われている「breadcrumbs」と呼ばれる道案内だと説明しています。
- 18
Google 検索セントラル「パンくずリスト(BreadcrumbList)のマークアップを追加する方法」。パンくずリストは、ページがサイトの階層のどこにあるかを示すとしています。
- 19
作者不明「Hänsel und Gretel. No 3.」Liebig's Extract of Meat Company の絵カード(シリーズ329、6枚組の3枚目)、1896年。パブリックドメイン(Public Domain Mark 1.0)。Wikimedia Commons。カードの下に「Brot streut Hans beim zweiten Gang」(2回目の道でハンスはパンをまく)と刷られています。
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